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ダメと言われると、余計にやりたくなる。私はそんな子供だった。
「真っ暗な場所で、かくれんぼしちゃダメなんだって」
何それと、私は先を促した。
「隣の子が言ってたの。暗い所で、もういいかい、って聞いちゃダメなんだって。来ちゃうんだって」
そんな話を聞いたら、試さずにはいられない。
夜になって、私は嫌がる弟を部屋に連れ込み、電気を消してカーテンを閉めた。
「もういいかい」
私の声に反応するものはいない。
「もういいかい」
「お姉ちゃん、やめようよ」
「もういいかい」
「お姉ちゃんってば!」
「…もう、いいのかい?」
耳元で、ゆっくりとした低い声がした。
飛び上がるようにして手を伸ばし、明かりをつける。部屋の真ん中で、弟が震えている。何もいない。
あれは、何だったのか。
今になって思えば、あれは。
命知らずな私に、もう逝っていいのかと問い掛ける、死神の声だったのかも知れない。
「真っ暗な場所で、かくれんぼしちゃダメなんだって」
何それと、私は先を促した。
「隣の子が言ってたの。暗い所で、もういいかい、って聞いちゃダメなんだって。来ちゃうんだって」
そんな話を聞いたら、試さずにはいられない。
夜になって、私は嫌がる弟を部屋に連れ込み、電気を消してカーテンを閉めた。
「もういいかい」
私の声に反応するものはいない。
「もういいかい」
「お姉ちゃん、やめようよ」
「もういいかい」
「お姉ちゃんってば!」
「…もう、いいのかい?」
耳元で、ゆっくりとした低い声がした。
飛び上がるようにして手を伸ばし、明かりをつける。部屋の真ん中で、弟が震えている。何もいない。
あれは、何だったのか。
今になって思えば、あれは。
命知らずな私に、もう逝っていいのかと問い掛ける、死神の声だったのかも知れない。
ホラー
公開:21/07/22 18:00
2021年7月、投稿開始。
小説を読むのが好きですが、書くのも楽しそうで始めてみました。
読んでいただければ幸いです。
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