年寄り、夏の散歩と冷や水

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ふぅ…暑い暑い。ちょっと日陰で一休みじゃわい。
汗を拭うと水筒を取り出し、こくこくと水を飲む。ぷはぁ…生き返るわい。
「おい爺さん。それ美味そうだな。俺ものど乾いてんだ。ちょっと水代恵んでくれね?」
何じゃ、この無礼な若者は?
「年金貰っていい暮らししてんだろ?払っている俺に少しは返してくれよ」
ああ、カツアゲって奴かい。仕方ないのぅ…
儂は水筒の蓋を開けると中の水を若者に引っ掛けてやった。
「何すんだクソジジ…」
若者の声は尻すぼみになる。喉元に水刀を突き付けてやっているからのう。
儂は若者にニヤリと笑いかける。「どうじゃ?少しは頭も冷えたか?」
水を打ったような静けさの中、尻もちをつく若者。おやおや、肝も冷えてしまったようじゃな。腰を抜かし、這う這うの体で逃げて行く若者。
やれやれ…年寄りの冷や水と分かっていてもついやってしまう。
ま、青蛙の面に水を引っ掛けるくらい別に構わんじゃろう。
公開:21/07/19 20:32

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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