古本

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図書館も好きだけど自分の手元に置いておきたい本ってある。
子供の頃、町の古本屋に誘われるかのように入った。
店内を見渡すと独特の雰囲気だ。興味を惹かれた背表紙の本を一冊手に取った。面白そうかも。僕はその本を買った。

ページをめくっていると以前の持ち主が書き込んだのだろう。僕もそこへ何とはなしに星マークを書き足した。
読了した。面白かった。

何度か読み返したけど、学生の頃お小遣いの足しにとその本を売ってしまった。
売ってしまってから後悔して、お店に見に行ってみたけれど、もう売れてしまっていた。


大人になった僕は、彼女の部屋で見覚えのある背表紙の本を見つけた。僕は思わずその本を手に取った。
「これって?」
「転校した頃。町の古本屋で買ったの」

僕はもしかしたらと思い、あのページを探した。
あった。あの頃、僕が書き足した星マークが。
「こんなことってあるんだね」
僕は彼女に微笑んだ。
その他
公開:21/07/17 20:23
古本 古本屋 不思議 日常 めぐり逢い 出会い 邂逅 巡り合い

前虎( https://mobile.twitter.com/mae10ra )

はじめまして。
前虎と申します。
作品を読んでいただけたら嬉しいです!
よろしくお願い致します。
「小説家になろう」さんにも掲載中です☆

 

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