若き看板娘の告白

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私の名前は黄菜子。東北の見渡す限り田んぼか畑しかない町で育ちました。
「お前もすっかり大きくなって。今じゃオラの背丈を超えるほど立派になったもんだ。そろそろ都会さ、出してもいい頃だ」
養父はそう言って私をトラックに乗せ、送り出してくれました。

今は上京し、とある小売店で店に立つ毎日です。自分で言うのもアレですが、看板娘として人気者なんですよ。男女問わず幅広い年齢層のお客様がしばしば足を止め、品定めするようにじっと見つめてくるんです。最初は恥ずかしかったけど、もう慣れました。旬を迎えたこの若くて健康的なルックスですもの。

でも、実は人には言えない悩みがあって。私、脱ぐと毛深いんですよ。みずみずしい肌ツヤには自信があるんですが、所々に長いひげが生えているんです。なので、普段は皮で隠して接客しています。え、売り場の場所ですか。「お買い得 とうもろこし」という値札を目印に探してみてくださいね。
ファンタジー
公開:21/07/17 18:49
更新:21/07/19 05:37

アカサカ・タカシ( Chicago )

2022年から米国シカゴ在住。

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