通り魔の彼女
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「コーヒーのおかわりいかがですか?」
頑張って口を開けようとするが糸で縫い付けられたようにびくともしない。ウェイトレスは約束をすっぽかされた可哀想な男に同情するような視線を送ってくる。
目の前に座る首から上が無い黒々とした物体は、身体のラインからして女のようだ。
通りから男の凄まじい悲鳴が聞こえた。その声とほぼ同時に目の前の女らしき黒い肩が赤く染まった。
「通り魔らしい。首を女に噛みつかれたって! 救急車!」
ぼとりと目の前に女の頭が落ちて、満足そうに微笑んだ。
金縛りが解けて自由の身になったが、彼女が消えて無くなっても席を立つことが出来なかった。
後で死亡した男が凄惨な事件を起こしていたと知った。彼女もその一人だったのだろうか。コメンテーターの憶測より、あの日の彼女の方が鮮やかで本物だったとカフェを通る度に思い出す。ほんの少し後遺症の様に残る痺れと共に。
頑張って口を開けようとするが糸で縫い付けられたようにびくともしない。ウェイトレスは約束をすっぽかされた可哀想な男に同情するような視線を送ってくる。
目の前に座る首から上が無い黒々とした物体は、身体のラインからして女のようだ。
通りから男の凄まじい悲鳴が聞こえた。その声とほぼ同時に目の前の女らしき黒い肩が赤く染まった。
「通り魔らしい。首を女に噛みつかれたって! 救急車!」
ぼとりと目の前に女の頭が落ちて、満足そうに微笑んだ。
金縛りが解けて自由の身になったが、彼女が消えて無くなっても席を立つことが出来なかった。
後で死亡した男が凄惨な事件を起こしていたと知った。彼女もその一人だったのだろうか。コメンテーターの憶測より、あの日の彼女の方が鮮やかで本物だったとカフェを通る度に思い出す。ほんの少し後遺症の様に残る痺れと共に。
ホラー
公開:21/07/13 19:38
変な話になってしまいました
恋愛話のつもりが
ホラー味に
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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