ぼくのくに語

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もうすぐ3歳になる息子が、ある日変な言葉を使い始めた。もう会話はできるはずなのにめちゃくちゃなことばかり言うのだ。起きては「めちぃ」ご飯は「ぬ」終いには私を「のん」と呼ぶ。昨日まで「ママ」と呼ばれていた私は、これは何かの病気かと急いで病院へ連れていった。しかし異常はなく、医者も首を傾げた。
「子供は大人の言葉を真似します。似たような言葉を使っている人が身近に居ませんか?」
そう言われたが、検討もつかない。その日の夜になっても、息子の言葉が戻ることは無かった。
帰宅した夫に相談する。夫は私の話を聞いて目を丸くしたが、次の瞬間吹き出す。驚く私を置き去りに、夫は遊んでいる息子に近寄り息子を抱えあげて「こら、ここはパパとママの国だぞ。」と優しく言った。息子はその言葉にあっと声を上げる。
「ごめんね!忘れてた!」
保育士の夫曰く、あれは息子の国の言語らしい。子供は誰でも自分の国があるのだとか。
ファンタジー
公開:21/07/15 14:39

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