二代目テレビ

12
16

いつも観ているテレビの調子が悪い。画面が少し暗いのだ、私の目の具合が悪いのかと、眼科へ行ったが大丈夫だった。
そうするとテレビにガタが来ているのか。今度はどんなテレビにしようかなと思案していると、テレビが突然こちらに話しかけて来た。
「長い間、私を見つめて頂き、本当に有難うございます。
貴方は私のことを、とても大事に扱ってくれて感謝しています。私も老いて、あちらこちらが痛んで来ましたが、
こちらから貴方を見ていますと、最近暗く気が沈んでおられる様です、貴方も年を取られましたね」と。
えェ~、私を見ていたなんて本当にびっくりだ。

更にテレビは「貴方はちょっと観てつまらないとチャンネルを直ぐに変えたり、リモコンスイッチを力尽くで押す癖があります。私は地位を二代目に譲るつもりですが、必ず貴方の癖も伝えておきます」と言った。
私は同じ形の同じテレビを選ぶ事にした、一代目も私の側にいることだろう。
ファンタジー
公開:21/07/15 13:54

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容