変わりゆく怪しさ

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「警部。犯人は遺体を遺棄現場へ移動させた可能性があります」
「おいおい。いくら切断遺体でも大きな質量をどうやって運ぶ。しかも住宅街で怪しまれずに」
「…はい」
「怪しい車の目撃は」「ありません」
「スーツケースを運ぶ人とかは」
「遺棄現場のマンション住人から不審者の目撃情報は一切」
「周辺の監視カメラもか」
「今の所何も報告は」
「車もケースも使わず誰にも怪しまれず大型の荷物を運び込む方法なんてあるのか…」
「それに、今や夏でもマスクは当たり前なんで変装は不要ですし」
確かに。警部は署の窓から見下ろすと行き交う人々は皆マスク姿だ。それすらもう違和感を感じなくなっている。
視点を歩行者から道路に移した時だった。
「おい、アレ!」驚いた新人が駆け寄る。
「アレも今や街の風景に溶け込んだよな?」
「堂々と住宅街に行けます!大きな荷物を持って」

目の前をフードデリバリーのバイクが走り去ってく。
ミステリー・推理
公開:21/07/16 06:00

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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