ずっと愛してくれる恋人

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ああ、また俺のことを見ている女性がいるな。
ふーん、近づいて声をかける勇気もないと見える。

俺は女性にかなりモテるのだが、付き合いは長続きしない。
俺にジャストフットするパートナーにはなかなか巡り会えないのだ。
美人でもスタイルやセンスが悪ければ俺と一緒にはいられないし、可愛いだけのお子様や移り気なマダムでは話にならない。
俺の見た目だけで寄ってくる女性たちにはうんざりだ。

しかし、そろそろ俺も腰を落ち着けたいと思っている。
トップノートがほのかに香るのに気がつくと、滑らかな肌の女性が俺の腕を掴んでいた。
優しさと知性が感じられる。うん、彼女が俺の相手ならいいだろう。

「あのう、昨日この服買ったんですけど、やっぱり返品したいんですが、、、、」
ああ、この女性ともうまくいかなかった。
俺はまたブランドショップのハンガーラックに戻され、ずっと愛してくれる恋人を待つ。
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公開:21/07/15 06:22
更新:21/07/16 07:06

まくの沙江

自分なりのショートショートができればいいと、投稿させてもらっています。
皆様の作品やコメントは、新しいアイディアが生まれて勉強になります!

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