無人駅にて

「はぁ…今日も客来ねぇなぁ…」
海の駅、タクシー乗り場で仲間の亀と愚痴をこぼし合う。
『そういや聞いたか。クジラバスの運転手のピノキオって奴が俺達の悪評を流しているって噂』
「何だそれ？初耳だぞ？」
『何でも俺らタートルタクシーに乗ったら竜宮城って場所に連れて行かれて、帰ってくる頃には何百年も経っているってデマを流しているらしいぞ』
「何だそれ！？風評被害もいいところじゃないか！よ～し、向こうがその気ならこっちもデマを流してやろう。そうだな…クジラバスのモンストロって奴はとても凶暴で何でも食っちまうってのはどうだ？一度中に入ったら二度と出られない…そんな噂が流れたらクジラバスも終わりだろう」
『それ、良いね。早速流してやろうぜ』
「ついでに兎の悪評も流してやろう。あいつら、俺らが鈍いからって浜辺で虐めてくるんだ。前は浦島太郎って人に助けてもらったけど、いつも助けが来るとは限らないからな」