変電器

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駅に向かう道に数人が集まっている。サラリーマンの中年が言う。
「突然出現したこの鉄の箱は何でしょうか?」
道には大きな鉄の箱。
「扉があります」と通勤途中のスーツ姿の女性が言った。
「ブーンと音がする」とジョギング中の若い男。
黒い服の男が「みなさん、中は恐ろしい闇です」と大きな声。
そこに作業着をきた男がやってきた。
「変電器に何か?」
「変電器!いつからここに、内部は?」ジョギング男が聞いた。
「ずっとあります。配電盤、メーターとかです。では点検を」と作業着が扉を開けた。
「開けてはいか〜ん」黒服が叫んだが作業着は扉を開いて入る。「中は?」とサラリーマンが続いて二人はすっぽりと中に入った。スーツの女が何を思ったか扉をぱたりと閉めた。
「あ〜、二人はもう闇から出てきません」黒服がうろたえる。息を殺して扉を見たが出てくる様子はない。そのうち一人二人と道を急ぐように消えた。私も駅に向かった。
その他
公開:21/07/13 14:43

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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