伸びるサンダル

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つま先部分を一度反らせるとペコっと感触があり、伸びる状態と固定された状態が切り替わる。二度続けてペコペコ反らせると、元に戻る。

限界を試そうぜ、と悪友を呼び出す。かかとを持たせ、部屋の端まで行くが、まだ伸びる。場所を移し、玄関から外へ出すように伸ばす。
─目的地まで伸ばしておいて、一歩で到着みたいなこと出来るんじゃね?
─馬鹿、サンダルだけ到着してどうすんだよ
サンダルは伸び続ける。家からかなり離れた。
─おーい、一度固定してそっち帰るわ
向こうから返事が聞こえると、俺はサンダルの先をペコペコと二度、反らせた。
間違えたと思う間もなく、サンダルを掴んでいた俺は物凄い勢いで吹き飛び、叫ぶ友人に激突して玄関に到着した。
体が痛い。
─なぁ、こうすりゃ本当に一歩で到着するぜ
俺が笑いながら言うと、悪友は手に持ったサンダルで俺にツッコミを入れた。
─そうやって使うもんじゃねぇ
─お前もな
ファンタジー
公開:21/07/15 12:00

お弁当係

2021年7月、投稿開始。
小説を読むのが好きですが、書くのも楽しそうで始めてみました。
読んでいただければ幸いです。
 

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