一秒先を読める嫁

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「おい、お……」
「はい、お茶」

しかも程良い温度になっている。飲み頃だ。

「おい、し……」
「はい、新聞」

そうそう。今日は何のテレビがあるか見たかったんだ。

「おい、ゆ……」
「もうすぐできますよ」

夕飯、もうすぐできるのか。
結婚して30年。亭主関白の俺と一秒先を読める嫁。

夫婦二人三脚で色々な困難を乗り越えてやってきたんでしょ?
皆がそう言うが、実は違う。
実は俺の嫁は、超能力者であり、本当に少し先の未来が見えるのだ。

あれは俺が嫁にプロポーズをした時の事。今思えばあの時もあっけなかった。

「あの……ぼ……」
「はい。不束者ですがよろしくお願いします」

僕と結婚してくださいの”ぼ”しか言ってないのに、嫁に先読みされてしまったのだ。
だからな、よく人に聞かれる事があるだろ?
プロポーズの言葉を教えてくださいって話。

俺のプロポーズの言葉はな……。
「ぼ」なんだよ。
公開:21/07/12 21:49

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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