夏に帰る

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歩く速度が速い君に走って追いつき追い越し、私は立ち止まる。もう一度だけあの懐かしい夏に帰る事ができたら、いつか忘れてしまった人を好きになるという気持ちを再び思いだせる。そう思ったんだ。だからこうして、この夏に君と会う事にした。
私が転校してから3年。君は背が伸びて以前よりも男らしくなった。相変わらず君は、女の子に歩く速度を合わせるなんて気の利いた事ができるような男の子ではないけど。でもそれでも何も変わらない君の仕草や態度に、どこか私はホッとしたんだ。

「私ね、君が好きだったんだよ」

好き……だった。うん、過去形。
もうあの時から3年も経ったんだから。

「じゃあ付き合う?俺と。俺もお前の事、好きだけど」
「えっ?でも遠距離に……」
「別に距離なんて関係ねぇよ」

全く君は……。
距離も3年という空いた時間も全然気にしない雑な男の子なんだから……。

「じゃあ…よろしくお願いします」
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公開:21/07/12 21:26

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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