お願いは短サクッとね

この星の人々は毎年たんざ区役所に願いごとを書いた短冊を提出する。願いごとは全て織姫様に届けられる。
今年の僕には願うことがたくさんあるんだ。コロナで給料が減った。友達に会えない、飲みに行けない、帰省できない、彼女もできない。ないないづくしだ。

ーコロナがおさまって、給料が増えて、友達に会えるようになって、飲みに行ったり帰省できるようになりますように。それから彼女が欲しいです。ー

「彦星さん、願いごとが長すぎます。短冊にはもっと短く。特に今はあまり長い願いごとは読んでもらえない時代なのです。それに織姫様は忙しいのだからなるべく簡潔にまとめないと」
「はぁ。難しいな」
「こちらで短くリライトしておきましょう」
数日後、天の川からお中元が届いた。中身はメキシコのビール。
「ライムを絞ると美味しいわよ」
乙姫様からの直筆の手紙付きだ。どこをどうリライトしたんだろ。でも、これはまさかの恋の予感。