無人駅にて

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仕事帰り、駅のホームで梅酒の入った瓶を見つけた。誰かの忘れ物か?
いい色だな。凄く良く漬かっている。周りに誰もいないし、ちょっと味見をさせてもらおう。
ほぉ…これは絶品だ。こんな美味い梅酒は初めて飲んだ。もう一杯、もう一杯と飲み進め、気が付けば空になっていた。やってしまった…と思うも酒の酔いが罪悪感を打ち消してくれる。
やってきた電車に乗り、何食わぬ顔で家路についた。
翌日も仕事帰り、駅のホームで梅酒の入った瓶を見つけた。
ダメだと思いつつも梅酒に手を伸ばし飲んでしまう。周りに誰もいない為かすでに罪悪感は欠片も残っていない。それどころかこの梅酒を誰にも渡したくないと思い始めた。
翌々日に梅酒を飲めば、それが使命感へと変わっていた。この梅酒は誰にも渡さない。
そうなると駅にやってくる者が皆、梅酒を求める者に思えてきた。
そんな者達を排除する。罪悪感はない。この梅酒さえあれば他に何もいらない。
公開:21/07/09 20:35

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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