無人駅にて

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朝、無人駅のホームでスマホを拾った。
画面を触ってみるとロックがかかっている。ま、当然か。
興味本位と暇潰しで適当に数字を打ち込んでいく。まさか開いてしまうとはなぁ…でも驚くべきはそこじゃなかった。
スマホの中は某大手企業の不正の数々が詰まっていた。もしこれが世に出てしまえば大スキャンダル。とんでもない秘密を私は手にしてしまった…
私は急ぎ女子トイレに入った。息を潜め、耳をそばだてる。
少しして、荒々しい足音が聞こえてきた。
そっと外を覗き見ると厳ついおじさんが「どこだどこだ」と何かを必死に探している。きっとこのスマホに違いない…
おじさんがこっちを見た。ヤバい!と感じ、身を隠す。
足音が近づく…おじさんは女子トイレを素通りし、駅を出て行った。
ほっと息を吐くと外に出る。危ない危ない…この情報が世に出れば私の不正もバレるところだった。
私はスマホを線路内に落とす。早く電車、来ないかなぁ…
公開:21/07/08 20:38

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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