旅立ち

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バスの中。
ふと目をやった先に蟻がいた。
思いもしない光景に、これは蟻専用のバスだったかと後ろを振り返った。
人間がいてホッとした。
蟻の足ではとうてい辿り着かない場所へとバスはどんどん進んで行く。
蟻はもう家族や仲間のところには帰ることができないだろう。
「寂しくないかな」
蟻のことが心配になり、切なくなった。
そもそも、この蟻はバスを降りることができるのだろうか。
降りることができたとしても、そこは見たこともない全く知らない地。
「仲間を見つけることができるかな」「新しい仲間と仲良くできるかな」
蟻のことを心配しているうちに、僕の目的地にバスは停車した。
見知らぬ新しい土地に降り立った僕。
僕はここで仲間を見つけることができるだろうか。仲良くすることができるだろうか。
きっとできるはずだ。
「蟻くん、君は大丈夫だ」
僕は自分を励ますように走り去ったバスを笑顔で見送った。
その他
公開:21/07/08 19:33
更新:21/07/08 19:34

天野花( 北海道 )

「たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座」を読みながら、執筆活動を頑張り始めたところです。

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