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一組の若いカップルがバイクにまたがり、川沿いをあてもなく流しているうちに小さな路地に迷い込んだ。
「この先は行き止まりかな」
「一雨来そうだし、早いとこ引き返しましょうよ」
そう言って来た道を戻ろうとしたところ、何やら行列ができている店を見つけた。二人はバイクを停め、そのまま吸い込まれるように列の最後尾についた。そこは飾り気のない1軒の花屋だった。
「うちは溶ける花しか置いてないよ、残り一鉢だ」
ようやく二人の順番になると、日に焼けた若い店主の男が声をかけてきた。
「本当に溶けちゃうんですか?」
「そうさ、綿あめのようにね」
「ふうん。せっかくだし、買ってみましょうよ」
半信半疑のまま植木鉢を荷台に載せて出発する。ほどなく二人を激しい雨が襲った。振り返ると雨に打たれた花が泡になって溶け出し、やがて巨大な繭に形を変えてバイクを包み込んだ。
それ以来、二人は今も行方知れずのままという。
「この先は行き止まりかな」
「一雨来そうだし、早いとこ引き返しましょうよ」
そう言って来た道を戻ろうとしたところ、何やら行列ができている店を見つけた。二人はバイクを停め、そのまま吸い込まれるように列の最後尾についた。そこは飾り気のない1軒の花屋だった。
「うちは溶ける花しか置いてないよ、残り一鉢だ」
ようやく二人の順番になると、日に焼けた若い店主の男が声をかけてきた。
「本当に溶けちゃうんですか?」
「そうさ、綿あめのようにね」
「ふうん。せっかくだし、買ってみましょうよ」
半信半疑のまま植木鉢を荷台に載せて出発する。ほどなく二人を激しい雨が襲った。振り返ると雨に打たれた花が泡になって溶け出し、やがて巨大な繭に形を変えてバイクを包み込んだ。
それ以来、二人は今も行方知れずのままという。
ホラー
公開:21/07/06 01:21
更新:21/07/19 05:48
更新:21/07/19 05:48
カップル
花屋
バイク
2022年から米国在住。
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