311. 世界はカラフル

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なかなか止まない梅雨空を睨んでいたら、隣のクラスの男子が赤い傘に入れてくれた。
なんで男なのに赤なのよって聞いたら死んだかーさんのだからって。
じゃあ私が持とうかって言ったらオレンジに染めた頭を横に振った。
田舎道に咲く黄色い花が緑と雨露によく映えて綺麗だった。
家に到着すると母はこれで拭きなさいって青いタオルを彼に差し出した。
彼の右肩はぐっしょりと濡れていて、拭いたタオルはみるみる藍色になった。
「送ってくれて本当にありがとうね。これ帰ったらおやつにたべて!」
母が彼に渡したのはルマンドだった。
彼がそれを見てにやっとした瞬間を私は見逃さなかった。
「好きなんだ、ルマンド」
「あったりめーだろ」
割れないように大切にカバンにしまうと「じゃあな」って小走りに去ってった。
気が付くと雨は上がっていた。

「母さんはあの子が好きよ」
母がにこっと笑って指差した先には、七色の虹がかかってた。
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公開:21/07/05 23:04
更新:21/07/06 01:06
七夕祭り 赤・橙・黄・緑・青・藍・紫 七色祭り 天の川じゃなくなってすみません

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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