店員と間違われやすい男

「ねえ、これの詰め替え用パックなんだけど、あるかしら？」
「あの、僕も客です…」
「まあ！ごめんあそばせ！」
どうして僕はいつも店員と間違われるのだろう。
「すみません、ちょっといいですか？」
「店員じゃありません！」
「あ、じゃあ本物の店員さん呼んできてもらっていいですか？」
「それもう実質店員ですよね！？」
ダメだ…これじゃ落ち着いて買い物もできやしない！
「店員さん、あの…！」
「店員さーん！！」
どうしてみんな僕に声をかけるんだ！
追ってくるなー！
こうなったら裏口から逃げるしか…
「早く！こっちです！」
誰だ、裏口で手招きしている人は？
「危ないところでしたね。もう大丈夫。最近はああいう図々しく勘違いした客が多くて困ります」
「まったくですよ。店員なら他にいるのに。ところであなたは？」
にっこりと笑みを浮かべるおじさん。
「配送のもんです。ハンコもらってもいいですか？店員さん」