不思議だけど不思議じゃないかもしれない話 ―ペンキ塗り立て

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 会社所有の「売地」の管理、といえば聞こえはいいが、ようは草刈りが俺の業務だ。
 今日は蒸し暑い曇り空。いちばん体力を削られる天候だ。最寄のコンビニでアイスパック1Kgを計3袋、自前で購入して、自前のクーラーボックス兼腰掛に放り込む。中には家で凍らせてきたタオルが5本。草刈り機と鎌と植木ばさみ。スマホであいみょんを流して作業だ。
 『メガソーラー最適地』。つまりは、馬鹿みたいに広い"ha"単位の荒れた傾斜地を、♪ロックなんか聞かない とか歌いながら昼休憩を挟んで、背丈を優に超えるススキ野原を刈り進んでいった。
 午後3時。草刈り機がガッと何かに喰い込み、赤が飛び散った。
「事故!」
 手を止めて草を押しのけると、そこには延々と左右に続く木柵があった。飛び散っている赤い色は、ペンキだった。
 「ペンキ塗り立ての柵です」
 と社に連絡したら、寝言言ってんじゃねぇ。と一括された。
 そんな話だ。
その他
公開:21/07/07 07:48

新出既出20( 浜松市 )

新出既出です。
twitterアカウントでログインしておりましたが、2019年末から2020年年初まで、一時的に使えなくなったため、急遽アカウント登録をいたしました。過去作は削除してはおりませんので、トップページの検索窓で「新出既出」と検索していただければ幸いです。新出既出のほうもときおり確認したり、新作を挙げたりします。どちらも何卒よろしくお願いいたします。
自己紹介:「不思議」なことが好きです。

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