歴史的遺産

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「このトンネルの先には何があるのだろう」
頑丈な扉をこじ開けて、探検隊は闇深いトンネルの中を進んでいた。
「千年以上も地下奥地に隠しているんだ、さぞかし価値のあるものに違いない」仲間が答える。
たどり着いた場所には見渡す限り金属の筒が並んでいる。すべての筒には黄色の背景に黒色の紋章がつけられていた。
「こんな紋章は見たことがない」
「きっと貴族か大企業の紋章だろう。そしてこれらは隠し財産なのさ」
彼らは期待を込めて筒の蓋を開けた。中には黒光りするガラス状の物体がぎっしりと詰められている。
「なんて美しいんだ。こんなにあれば一生遊んでも有り余る金が手に入るぞ」
千年間隠された謎の黒い物体と紋章は、人々をひきつけるには十分だった。たちまち世界へと広まっていった。
暫くして黒い物体の所有者が皆、謎の死を遂げた。

千年の時が流れた今、彼らが放射能標識の意味を知る由もない。
その他
公開:21/07/04 08:48
更新:21/07/05 23:08

片喰( 濃尾平野 )

濃尾平野に出でし者

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