星の降る夜

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星の降る夢を見た。
私の住む町が一望出来る丘の上で、私は一人でそれを眺めていた。夢の記憶はそこまでしか覚えていない。
きっと、ロマンチックだったんだろう。でも何故か、私は言いようのない不安に襲われていた。



『今夜は、流星群が見られるでしょう…』
「あら、ロマンチックねぇ」

ニュースから聞こえた声と、母の声。もしかして、あれは正夢?

「私、今日友達と流星群見てくる」
「わかった。遅くならないようにするのよ」

本物の流星群を見れば、この不安の正体が分かるかもしれない。そう思って、私は友達と行くと嘯いて、一人であの丘に登ることにした。



そして、私は目の当たりにする。
私の町に、いや、世界に降り注ぐ流星群を。
肉眼でも分かるほどの大きな隕石が、家を、人を押し潰していくのを。

「…こういうことか…」

最早どうすることも出来ない世界の中で、私はただ呆然とその景色を眺めていた。
その他
公開:21/07/03 09:51

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