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「雨足が強まる」というだろ。あれは、雨人が家路を急いでいるのさ。
雨雲の飛行船に乗って空の旅を楽しんだ雨人が、一斉に地上に降りてくる。
昔から雨人を呼び込むために雨乞いをしたりするけれど、「恵みの雨」は言い当て妙で、さまざまな場所に降り立った雨人のことを指している。
例えば、日照り続きの田畑や果樹園だと、農作物を潤して育み、水不足のダム湖だと、貴重な水がめとなって飲料水や電気などに使われる。
特に、数多くの雨人が地下の住まいに帰る場合は「大地の恵み」となり、海中の住まいに帰る場合は「海の恵み」となる。
住まいに戻った雨人は、旅の疲れを癒すと、液体の姿から気体となり、再び空の旅に向かうため上空へと上がっていく。そして、雨雲の飛行船に乗り込んで出発するのさ。
ただ最近は、雨人の帰省ラッシュが激しくてゲリラ豪雨になり、山間部の土砂崩れや、河川が氾濫して洪水を起こしたりするのには困ったものさ。
その他
公開:21/07/03 07:15
雨足 地上 雨乞い 恵みの雨 大地の恵み 海の恵み ゲリラ豪雨 土砂崩れ 洪水

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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