1966年のミルキーウェイ
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1966年7月7日木曜日。朝から鉛色だった空から雨が落ち出したのは、15時15分。
放課後の4年6組の教室。
「今日、七夕だね」
「うん」
「8時に二人で神社で会おうよ」
「それって、校則違反だろ?」
「七夕の為に、浴衣縫ってもらったんだ」
「校則破っていい『理由』になんない」
「『りゅう』ちゃんの為なら理由になる」
「意味わかんねぇ」
「来てくれたら、いい事あるよ」
「チュウでもしてくれんの」
「チュウは、この前したでしょ」
「そうだけど、今日は七夕祭りだから」
「ミルキーウェイの由来を教えたげる」
「不二家の話に興味ない」
「違うよ。ギリシャ神話」
「何だよ、それ?」
「ゼウスとヘラとヘラクレスの話」
「・・・」
「母乳が流れ出しちゃったって話」
「母乳ってミルク?」
その後、雨脚は一層強まり、神社には行かなかった。結局、天の川は見えなかった。
彼女はずっと待っていた。ズブ濡れで。
放課後の4年6組の教室。
「今日、七夕だね」
「うん」
「8時に二人で神社で会おうよ」
「それって、校則違反だろ?」
「七夕の為に、浴衣縫ってもらったんだ」
「校則破っていい『理由』になんない」
「『りゅう』ちゃんの為なら理由になる」
「意味わかんねぇ」
「来てくれたら、いい事あるよ」
「チュウでもしてくれんの」
「チュウは、この前したでしょ」
「そうだけど、今日は七夕祭りだから」
「ミルキーウェイの由来を教えたげる」
「不二家の話に興味ない」
「違うよ。ギリシャ神話」
「何だよ、それ?」
「ゼウスとヘラとヘラクレスの話」
「・・・」
「母乳が流れ出しちゃったって話」
「母乳ってミルク?」
その後、雨脚は一層強まり、神社には行かなかった。結局、天の川は見えなかった。
彼女はずっと待っていた。ズブ濡れで。
その他
公開:21/07/05 16:50
七夕祭り
千葉県野田市在住の、渡辺隆一です。
小学4年生の頃から、文章を書くのが
好きで、今も、趣味で書いています。
ショートショートが、好きです。
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