織姫様は我慢できない

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「おそーいっっっ!」
年に一度の逢瀬だというのに、遅れてやって来た彦星に、織姫はすっかりおかんむり。
「ナニ考えてんのよ、あり得なくない!?」
「ごめんごめん、昨日洗っといた牛車がさ。よくよく考えたら牛の方にメシ食わせるの忘れてて。ほら、牛って消化に時間が…」
「信じらんなーいっ!そんなの普通昨日のうちにやっとくでしょ!?」
「うん、だからさ。今朝連絡したって、ちゃんと」
彦星は手にしたスマ星をかざした。
「は?来てないし」
織姫は懐から出した自分のスマ星を見たが、着信表示はない。
「えー、おかしいなあ。僕、ちゃんとメッセージ送ったよ。もちろん『星の光回線』で…」
その途端、織姫はものすごい形相で怒鳴った。
「アンタんとこからウチまで15光年あるんやで!昨日今日で届くわけあるか、ボケェ!!」
織姫の怒髪が天を衝いて破ったおかげで、世に言うブラックホールができたんだそうだ。
怖や怖や。
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公開:21/07/05 14:21
更新:21/07/29 13:49
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秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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