血売りの少女

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私の血を買ってくれませんか。
街頭に立って声を振り絞って早二年。
高校生の弟が殺された。
私は血を売っている。弟のためだ。
自分の腕から血を搾り取る日々。
お姉さん、それおいくらですか。
話しかけてきた少女は目が血走り、身体が小刻みに震えていた。
〇〇円です。少女から代金を受け取り、去っていく背中を目で追う。
間違いない。
私は路地裏に消えた少女の後をつけた。
その暗がりに、パックに入った私の血を飲み干し、唇を真っ赤に染めた少女がいた。
私は近づいて、持っていたナイフで少女を刺した。
吸血鬼にも赤い血が流れているのか。
弟が殺された現場を目撃したホームレスの話を聞いて驚愕した。
弟に噛みついて立ち去った人影を見たらしい。
若い女で、首の後ろに十字架のタトゥー。
目の前に倒れているこの女だ。
ミステリー・推理
公開:21/07/05 02:20

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