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「初物のきゅうりは、がたろに供えろ」
僕が住む地域の言い伝えだ。
毎年夏になって、きゅうりが実ると祖父は僕を川に連れて行き、初物のきゅうりをがたろにお供えする。
今年は、祖父が僕のために植えてくれた植木鉢のきゅうりが1番に実がなった。
僕のきゅうり。がたろに渡したくない。手でむしり取り、水でさっと洗って齧りついた。
しばらくして唇が腫れ出した。怖くなってすぐ祖父のところに泣いて飛んで行った。
祖父は慌てて神社に僕を連れて行き、宮司さんに事情を伝えた。
本殿に上がり、宮司さんにご祈祷をしてもらった。僕はずっと泣いていた。
家に帰ると、母が帰っていた。話を聞いた母は僕を自転車の後ろに乗せた。捨てられるのかと思ったが、着いたのは病院だ。
僕の血を調べて「きゅうりアレルギー」と医者は言った。
点滴で、すぐ唇の腫れは治った。
病院からの帰り道、ケケケと笑い声が聞こえた。母には聞こえていなかった。
僕が住む地域の言い伝えだ。
毎年夏になって、きゅうりが実ると祖父は僕を川に連れて行き、初物のきゅうりをがたろにお供えする。
今年は、祖父が僕のために植えてくれた植木鉢のきゅうりが1番に実がなった。
僕のきゅうり。がたろに渡したくない。手でむしり取り、水でさっと洗って齧りついた。
しばらくして唇が腫れ出した。怖くなってすぐ祖父のところに泣いて飛んで行った。
祖父は慌てて神社に僕を連れて行き、宮司さんに事情を伝えた。
本殿に上がり、宮司さんにご祈祷をしてもらった。僕はずっと泣いていた。
家に帰ると、母が帰っていた。話を聞いた母は僕を自転車の後ろに乗せた。捨てられるのかと思ったが、着いたのは病院だ。
僕の血を調べて「きゅうりアレルギー」と医者は言った。
点滴で、すぐ唇の腫れは治った。
病院からの帰り道、ケケケと笑い声が聞こえた。母には聞こえていなかった。
青春
公開:21/07/01 15:47
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