飛べない鳥

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子供の頃から鳥に憧れていた。重力から解き放たれるように自由に飛び回る彼らは僕の師そのものだ。
そのときから僕は鳥になると誓った。
それから毎日両手をばたつかせ、飛べることを夢見ていた。1年ほど経った時には、肩甲骨から動かすことを覚えた。
し一向に空を飛べることはなかったが、それでも真剣に鳥になると思い続けていた。
あれから3年。いつもの通り両腕をばさばさと動かすとふわりと空いた感覚がした。
僕は興奮して、思わず両腕を見たが羽は生えていない。
それでもあの一瞬だけは僕は確実に飛んでいたのだ。驚き、興奮で鳥肌が止まらなかった。
それからさらに3年が経った。まだあれから飛べていない。
飛べない鳥がいることを知ったのはそんな時だった。
そうか、ぼくは鳥だったが、飛べない鳥なのだ。
この氷の大地で僕は1人ではなかったのだ。
ファンタジー
公開:21/06/30 23:29

空飛びペンギン( 関東 )

ご覧いただきありがとうございます。

俳優業の傍ら、趣味でショートショートを製作しています。
田丸先生の書籍を読んでから、楽しく作っております。
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名作文学の朗読Youtubeを行っています。
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