無人駅にて

我が社が開発した世界の偉人体験マシーンは大盛況だ。多くの客が偉人の中に入り、見たもの、出来事を、肌で感じている。
中でも人気なのは織田信長体験である。三英傑に数えられる人物の手腕を体験したいと多くの客が殺到する。
希望する客があまりにも多すぎる為、我々は織田信長専用車両を作った。
織田信長専用車両は今日も沢山の客を乗せ過去へと出発する。
が、すぐに何人かが車両から吐き出された。出てきた客は顔を真っ赤にして我々に詰め寄る。
「織田信長に『お前の体験はつまらん。必要ないから儂の中から出て行け』って追い返されたぞ！」
これはよくあるクレームだ。織田信長は世界の偉人体験マシーン利用者に対し、『儂の人生を体験したくば貴様らの体験をまず見せてみよ！』と言ってくる。お気に召さなければこの通り追い出される。
ちなみにこれは注意書きにも書いていますよ。
だからここ、別名・傍若無人駅って呼ばれているんです。