タンスの中の行方

2021年
財務大臣は側近に言う。
「タンス預金か。アレどうにかならんか？」

2022年
新設のネット銀行であるNY銀行は年利が６％と
バブル期に匹敵し１０年で預金が倍になると謳った。
国有企業のY銀行が母体とあり当然話題となる。
難解な登録は母体銀行が懇切丁寧に対応するとあり高齢者がタンス預金片手にY銀行に殺到した。
親身に対応する職員に子や孫に残せるお金が少しでも増えたらと彼らは笑顔で理由を語った。

2023年
財務大臣は側近に言う。
「もし今わしが急死したら息子ら難儀するな。銀行の預金とかな。流行りの終活をやらんとな」

2024年4月
原因不明の疫病が流行する。

2024年5月
Y銀行内部。
「今回かなりのNY口座が凍結したって本当？」
「ああ、子に内緒で開設した親心が裏目に出たのかもな。ましてやまだ遺書なんて書いてないだろうし…」
「凍結された預金はどうなるんだろう」