人の役に立ちたいロボット

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ロボットである私には高度なセンサーが搭載されている。これにより、温度・湿度・気温管理はお手の物。飲食物を口に含めば材料から調味料、そのグラム数まで全て言い当てられる。火の通り具合から調理時間に至るまでレシピとして提出できる。
そんな私だが唯一、酒類が苦手である。アルコール度数から純度まで言い当てられる。その製造過程まで再現できる。
しかし、酒類はいくらその製造工程を再現したところで味の再現ができない。
私はロボット失格だ。これでは人の役に立てていない。
廃棄を覚悟する私を酒蔵の親方が叱りつけた。
「バカ野郎!いいか?酒ってのはな、人の役に立たないんだよ。酒造りで人の役に立とうと思うな!人を役立たずにする事を考えて作れ!」
そんな事を言われたのは初めてだった。
私は役立たずなりに役に立たないような酒を自身のデータから作り出した。
親方はそれを飲んで「人をダメにするいい味だ」と褒めてくれた。
SF
公開:21/06/28 19:06

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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