持ち帰り専門店

藁にも縋る思いで友人から教えられた幼食店の扉を開く。
店主は私と幼い息子の顔を見るや席に座らせ厨房に入った。
暫くすると「お待たせ致しました」と料理が出てくる。私達は何も注文していない。だけど、その料理見て食欲が刺激された。
「いただきます」
食物アレルギーを持つ偏食家の息子が「美味しい美味しい」と口にする。
息子の食事に神経をすり減らし、もう限界だった私の体を温かい野菜スープが心ごと温めてくれる。
気が付けば私達は料理を平らげ、久しぶりにお腹が満ち足りていた。
「随分お疲れの様子でしたので、こちらでメニューを決めさせて頂きました」
店主はそう言って私に伝票を差し出してくる。あれ？やけに分厚いような…
「アレルギー・偏食対策レシピです。当店は悩める親子の味方。レシピの持ち帰り専門店でもあります。またいつでもご来店下さい。お子様ランチと大人様ランチを胃袋に詰めてお持ち帰りさせてみせましょう」