あともうひとり

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ぼくは、クラス順位をあと5つ上げないといけない。そのための努力は惜しまない。
小学生のときから、高校は正興学園と決めていた。地域で一番の進学校だ。幼稚園時代から英才教育で有名な名門に通い、毎日の塾通いもあって私立小学校から私立中学へと進学することができた。
あと5人。あと5人を抜き去れば、正興学園への推薦に手が届く。
ぼくはライバルのことを知ろうと、どのような生活を送っているのかも確かめた。新聞を読み、世間の仕組みも理解した。考えるだけでなく、実行することの重要性も理解した。
こうした努力のおかげで、ライバルを順番に蹴落とすことができた。
残すはあと1人。明日頑張るか。
そうつぶやくと、ぼくは血塗られたナイフを橋の上から投げ捨てた。
ホラー
公開:21/06/28 14:07

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