大行列の先

朝、外がやけに騒がしい。
窓を見下ろすと長い行列が見えた。服を着替え外に出る。
大行列は先頭も最後尾も確認できない。
とりあえず人をかき分け最後尾を目指す事にした。
行列は老若男女偏りなく並んでいた。
やっとの事で最後尾らしき人の途切れにたどり着く。
「何の行列なんですか？」前の人に尋ねる。
「私も分からないんです」何人かに尋ねても同じだった。皆分からず並んでいるようだ。
数分後、私も同様に尋ねられる事になる。恐らく皆これを繰り返しているのだろう。
スマホで調べるが行列についての投稿は随所で見つかるが何の行列かについては謎のままだった。

1時間
割り込みで揉める声。

3時間
流れるデマ。

8時間
体調不良で倒れる者。

限界だがもう列を抜ける事は出来なくなっていた。
「先頭だ」誰かの声が響く。
終わりがある事に安堵する。

前の人が退きやっと先頭だ。

おや

…自宅の玄関だ。