Ⅱ-17.負情も時には武器になる

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 巨大な紅い人型が"死"を相手に大立ち回りを演じていた。
 ジャンボちゃんという名のそれは、言うなれば呪いの人形である。
 ヒトが抱く負情の中で、特に強烈なものー主に恋愛関係-を取り込み、苛まれる者に平常をもたらす存在である。怪しげな商売と思われがちだが、実際は心理学とマギアを融合させた立派な医療行為である。
 ジャンボちゃんは受容に優れた魔具であるが、一定量を超えると巨大化する性質を持っていた。本来は、時間をかけて浄化を行うのだが、地名度が上がるにつれその暇もない程の依頼が舞い込み、結果ジャンボちゃんは文字通りの巨躯にまで膨れ上がってしまった。困った癒イ師たちが目を付けたのが、近年様変わりしたハロウィンだった。
「たまには、こういうのもいいでしょ」
「恨まれてたヒトたちは、こんな目に合わずに済んだことを感謝すべきね」
 そういう癒イ師たちも、今夜ばかりは仕事の疲れを派手に発散させていた。
ファンタジー
公開:21/06/27 21:52
ファンタジー 連作 ハロウィン 呪い 癒し

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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