優しいカナシバリ

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深夜。
布団で横になっていた体を動かそうとした時にそれは起こった。
体が動かない。
私は違和感を覚え、閉じていた瞼を開く。
瞼を開いて見えたのは、頬をいっぱいに膨らませて私の上に乗っている子供だった。
この子供の名前はレムと言い、神出鬼没で最近は全然姿を見せなかったのだが今日は違う様だ。
「今日は何で出てきたか分かってるよね?」
私は口元が塞がれていて返事が出来ないので目で、"分からない"と訴える。
「また睡眠時間を減らして仕事をしてたね。」
"だって納期が迫っていてー"
「言い訳しない!」
キーン、とレムの声は大きく、耳鳴りがする。
「次やったら一日中押さえつけるからね。」
分かった?と僕の鼻スレスレまで顔を近づけて話す。
"分かった。私は涙目で伝える。
「それなら良いよ。」
レムはそう言って私の体から離れ消えてしまった。
私は押さえられていた体を起こし、安堵の溜息を吐いた。
ホラー
公開:21/06/28 09:00
幽霊 睡眠

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