白渓について話そう

　東大陸国の練島(ねりじま)には、白渓(はっけい)と呼ばれる山がある。
　そこは、創作者が大地と空を創作した後に、"生命"を創造した最初の場所であったとされ、世界の最底辺の次に生命の気配が最も色濃い領域であり、その影響からか粒子が集約し周囲の地域では"空魚"などの疑似生命が発生している。東大陸国に宿り子や粒子に関連した現象が最も多く確認されているのは、この白渓の存在が大きいとされている。
　そのため白渓は霊峰と呼ばれ、神職に携わる参人(まいびと)など限られた者しか領域の中に踏み入ることはできない。その不透明さも手伝い、白渓には死したヒトが集まる場所という推測をする世界学者も現れ、それを発端に領内に違法に踏み入る者－荒人(あらびと)が現れるようになってしまう。
　ちなみにこの推測が正しいかどうか。
　元参人に対して実現した取材では、この推測に対する質問に肯定も否定もしなかったという。