荒野のベンチ

2
3

辺り一面、ゴミ、死骸、汚物にまみれた、心休まる景色も、身体を休める場所もない、どこまでも続く荒野の先、地平線の向こうへ延びる道がある。

そこを一人で歩いている。

そんな時、ベンチが現れた。
低い背もたれの、二人掛けのベンチで、横になって眠ることもできる。

ベンチを後にして歩みを進めなければならない、と思いながら、もう何日もベンチの上で過ごしている。
この荒野の先に、このベンチ以上の幸福が待っている保証はない。
ならば、このベンチを終着点として、旅を終わらせることも可能だ。

ベンチが言う。
君は疲れている。
元気になったとき、こんなベンチに現を抜かして歩みを止めたことを後悔するだろう。

私が言う。
私は疲れていた。
ベンチが唯一の支えだった。ベンチがなければ私はとっくに旅を諦めていた。

恋?
分からない。
愛?
分からない。
依存?
分からない。

ただ孤独感が、そうさせるのだ。
その他
公開:21/06/30 04:59

G.G. Rooster( 東京 )

じーじーるーすたー。

メールとかLINEとか、個人に対して文章でのやりとりが苦手なので、コメントを残すのも苦手です。なので☆だけ押してます。
コメントいただくのはめちゃくちゃ嬉しいんですが、返信も苦手なので諦めることがあります。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容