夢の中の彼女

2
3

僕はクラスに夢のなかでだけ話す女子がいる。
学校で会うと普通なのに、夢で会うと少し可愛く見え、目覚めると少し好きになっている。
昨夜の夢でこう言われた。
明日現実で話そうよ。
僕は女子が苦手だ。
二時間目の数学のとき、彼女を見た。
もう一度見たら、目が合ってしまった。
慌てて目を背けたので不審がられたかもしれない。
昼休みに肩を叩かれると、彼女だった。
「さっき目が合ったよね」
僕は冷や汗を吹き出しながら俯く。
「昨日聞いてくれた?」
ハッとして振り返ると、彼女は消えていた。

「本当に現実の君も同じ夢を見ているの?」
「そうだよ。明日は話しかけてくれる?」
「うん」
「絶対だよ」

翌日学校に行くと、彼女はいなかった。
大きな車の事故に遭って意識がないらしい。
病院に見舞いに行こうかと思ったが僕たちは現実では親しくない。
とりあえず、帰ったら夜夢で話そうと思う。
ファンタジー
公開:21/06/29 20:57

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容