無人駅にて

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朝6時、俺はギターを担ぎ駅へと向かう。
誰もいない無人駅。一番の列車が来るのは朝7時。俺はギターのチューニングを済ませると耳を澄ませる。
…来た。スピーカーから緩やかなメロディが流れてくる。それに合わせて俺もギターを弾き始める。
俺はこの時間が好きだ。他に誰もいない小さな駅の構内。スピーカーは本来、発車用の単音しか出せないはずなのにこの時ばかりは多くの音を奏でる。
キーボード、ベース、ドラム。メロディに乗って、複数の楽器の音が聞こえてくる。
これらの音は俺にしか聞こえない。録音もできないし、他の人には聞こえない。
この時間、俺はこの無人駅で不思議な音楽体験をしている。
そう、これは不思議体験だ。何故なら今この時間、どこかの無人駅で俺と同じように楽器を奏でる者の音が届いているのだから。
7時になり、列車がやってきた。このレールの向こうに今朝の奏者達がいる。奏者に会う為、俺は列車に飛び乗った。
公開:21/06/29 20:43
更新:21/06/29 20:47

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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