残存肉厚商品

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俺の店は雑多なものを売る。店頭には配管の継手やワイヤーや機械部品、木ネジなど何の役にも立ちそうにないガラクタばかりである。洗って磨いたりして綺麗にしたものはまず売れない。仕入れたものを泥のついたままで置くとぱらぱらと売れる。仕入れと言ったが、商品を卸してくれる業者はいない。俺が以前に働いていたロボット製造工場にぶらりと訪れる。顔なじみの工員やロボットと世間話をしてついでに廃棄物をもらってくる。工場では産廃業者では費用がかかるので俺にいくらでもくれるわけだ。もらってきたものを店に並べる。ロボット部品だからロボット愛好家やときにはロボットが買いに来る。俺は部品のことをよく知っていて、客はウンチクを楽しんで聞く。この間も金属パイプの残存肉厚が異常なので応力腐食割れを生じると説明していたら、ある現代美術作家が山ほど買っていった。それで作った作品が展示中に割れ始めて壊れ、拍手喝采だったそうである。
その他
公開:21/06/27 10:55

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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