マンゴーフィッシュ

マンゴーが好きだ。世界には500を超える品種があるそうだが、私の暮らすベトナムでこのほど現地の生産組合が対日輸出を促進しようとバイオベンチャーと組み、新種を開発した。何でも魚好きな日本人の心を掴む工夫が凝らしてあるそうだ。

さっそく取り寄せてみると、魚の尾ひれのようなものが付いたまだ青いマンゴーが真空パックに入っていた。ラベルにはマンゴーフイッシュと書かれている。取扱説明書によると、冷水に1時間ほど浸すと鮮魚のように泳ぎだすという。先端バイオ技術で埋め込んだ尾ひれが動くことで食べる直前に追熟が進み、より高い鮮度を実現したそうだ。説明書には「三枚におろすもよし、鑑賞用に飼ってもよし」とある。

水の中でピチピチと飛び跳ねるマンゴーを捕まえて皮をはぎ、まな板の上で捌く。とてもヌルヌルしたが、刺し身にすると濃厚な甘みと爽やかな酸味が口の中で溶けた。しゃぶしゃぶにしてポン酢でやってもよさそうだ。