はしご
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憧れた門の前に立ち尽くすしていた。現役生で迎えた去年は全く歯が立たず、諦めきれず今年も挑戦することにしていた。全力は尽くしたが結果はいいものでなかった。自分の個人情報が印字された少しただの髪を右手で握りこんでいた。すると、目の前から校舎に向けて真っ白のはしごが伸びていった。それはぐんぐん伸びていき、ついに50mはあろう屋根まで届いていた。僕はそのはしごを登ることにした。大丈夫、足元は安定している。少しずつ登っていいくと、20mあたりで、とりもちのようにねちょねちょとまとわりついてきた。それでも一心不乱にはしごを登る。どんどんと登っていき、そして屋根までたどり着いてしまった。憧れた場所の壁を、僕は物理的に超えていた。敷地内を行き交う人々の顔は生き生きしていた。
振り返るとはしごは無くなっていた。戻ることもできない。達成感は恐怖の間で、このままここにいたいというような気持ちで満たされていた。
振り返るとはしごは無くなっていた。戻ることもできない。達成感は恐怖の間で、このままここにいたいというような気持ちで満たされていた。
ファンタジー
公開:21/06/26 20:41
ご覧いただきありがとうございます。
俳優業の傍ら、趣味でショートショートを製作しています。
田丸先生の書籍を読んでから、楽しく作っております。
ご意見、ご感想いただけると嬉しいです。
名作文学の朗読Youtubeを行っています。
『http://www.youtube.com/@akky_roudoku』
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