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「よろしければ今晩一緒にホテルを抜け出してみませんか?」
戸惑う半面、見ず知らずの女性との密会に私は興奮を禁じ得なかった。
ベトナムの某ホテルで2週間の強制隔離生活を送っていた私は、たまたまSNSを通じ、同じホテルで隔離中という日本人女性と知り合い、一晩だけ外に飲みにいかないかと誘いを受けた。
夜9時にホテル向かいのスタバの前で。守衛はいないから大丈夫ーー彼女から届いた最後のメッセージを見つめながら私はためらっていた。この国では隔離中に勝手に部屋を出ることは許されていない。見つかって拘束されれば失うものが大きすぎたし、外交問題にも発展しかねない。
それでも何かが私の背中を押した。無人の廊下を通り抜け、エレベーターのボタンを押す。だが、電源が切られていて動かない。非常階段のドアも閉まっていた。誘惑への熱も冷め、部屋に戻って彼女に返事を出したが、いつまで経っても既読になることはなかった。
戸惑う半面、見ず知らずの女性との密会に私は興奮を禁じ得なかった。
ベトナムの某ホテルで2週間の強制隔離生活を送っていた私は、たまたまSNSを通じ、同じホテルで隔離中という日本人女性と知り合い、一晩だけ外に飲みにいかないかと誘いを受けた。
夜9時にホテル向かいのスタバの前で。守衛はいないから大丈夫ーー彼女から届いた最後のメッセージを見つめながら私はためらっていた。この国では隔離中に勝手に部屋を出ることは許されていない。見つかって拘束されれば失うものが大きすぎたし、外交問題にも発展しかねない。
それでも何かが私の背中を押した。無人の廊下を通り抜け、エレベーターのボタンを押す。だが、電源が切られていて動かない。非常階段のドアも閉まっていた。誘惑への熱も冷め、部屋に戻って彼女に返事を出したが、いつまで経っても既読になることはなかった。
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公開:21/06/22 11:43
更新:21/07/19 05:53
更新:21/07/19 05:53
2022年から米国在住。
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