ゾンビの定義

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「博士、研究所に籠って何やってたんです?」
「ユージ」
「どうせ大したもの食べてないんでしょう」
博士は紙袋に手を突っ込んでサンドイッチを取り出した。
「ゾンビの定義は何だと思う?」
「え? ゾンビですか?」
デスクの上で大量のゾンビ映画のDVDが雪崩を起こしていた。
「博士の方が詳しいでしょう。僕は伝染病やテロによりゾンビ化することがある。ゾンビは脳の破壊で倒せる、それくらいしか知りませんよ」
「ゾンビの体内のウイルスはどれくらい生きているのだろうか」
「は?」
「脳を破壊されたゾンビは果たして安全と言えるのだろうか。種の繁栄が目的だとしたら、死に絶えたゾンビも餌になり得ないだろうか?」
「博士?」
「ゾンビになってみないか?」
絶句していると謎の液体が入っている注射を打たれた。
「う、うう」
自分の身体から高級焼き肉店の匂いがしてきた。博士がじりじりと寄ってくる。
ホラー
公開:21/06/21 23:19
ゾンビ映画を見て ゾンビの疑問

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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