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ある日の夕方、バイクで帰宅途中、空から何かが降ってきた。それは自宅マンションの車庫に入ろうと徐行していた時だった。
よく見ると薄闇に浮かんだアスファルトの上で一羽のスズメが何やら苦しそうにもがいていた。
「かなり衰弱しているみたい。きっと飛べなくなって落ちてきたのね」
後部座席に乗っていた妻が言った。彼女は鳥類全般を苦手としていたので、その物言いは素っ気なかった。
「でも、このままだと遅かれ早かれ別の車に轢かれちゃうな」
私は一旦バイクを路肩に停めてスズメを素手で拾い上げ、すぐ脇の花壇の土留めに避難させ、ひとまず部屋に戻った。
だが、家に帰ってもスズメの行く末が気になって仕方なかった。
「ちょっと水をあげにいってくる」
そう言って水と容器を手にした私を妻は無言で送り出してくれたが、花壇に戻るとスズメの姿はどこかに消えていた。
果たして、私はあのスズメを救うことができたのだろうか。
よく見ると薄闇に浮かんだアスファルトの上で一羽のスズメが何やら苦しそうにもがいていた。
「かなり衰弱しているみたい。きっと飛べなくなって落ちてきたのね」
後部座席に乗っていた妻が言った。彼女は鳥類全般を苦手としていたので、その物言いは素っ気なかった。
「でも、このままだと遅かれ早かれ別の車に轢かれちゃうな」
私は一旦バイクを路肩に停めてスズメを素手で拾い上げ、すぐ脇の花壇の土留めに避難させ、ひとまず部屋に戻った。
だが、家に帰ってもスズメの行く末が気になって仕方なかった。
「ちょっと水をあげにいってくる」
そう言って水と容器を手にした私を妻は無言で送り出してくれたが、花壇に戻るとスズメの姿はどこかに消えていた。
果たして、私はあのスズメを救うことができたのだろうか。
ファンタジー
公開:21/06/20 22:15
更新:21/07/19 05:55
更新:21/07/19 05:55
2022年から米国在住。
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