持ち帰り専門店

持ち帰り屋が帰ってきた！小さな田舎町だ。その噂はすぐに広がった。
町の人々は持ち帰り屋の店へと殺到する。
「やぁやぁ皆さん。お久しぶりです。今回もまた物凄いお宝を持ち帰ってきましたよ」
店に集まった皆に見せつける様に大きなカバンから美しい女神像を取り出す持ち帰り屋。
「これは南の秘境に住むある部族の女神像だ」
持ち帰り屋は女神像を持ち帰った経緯を語り始めた。今回も笑いあり、涙ありの冒険活劇。
田舎町では到底味わえないスリルに皆、目を輝かせ聞き入る。
「…と、言う事があって部族の長に認められた私はその友好の証にこの像を持ち帰る事を許されたってわけさ」
話終えた持ち帰り屋は月の女神像を店の棚に並べた。話を聞いた後だとより神々しさが増しているように感じる。皆、自然とそれを拝んだ。
持ち帰り屋の話が嘘か本当かなんて町の人にとってはどうでもいい。皆、持ち帰られた話を純粋に楽しみにしているのだから。