葡萄の旅

僕は葡萄の実です、同じ農園でもワイン工場に行ったものもありますが、ゆくゆくは海外に行きたいと思っていました。
ある日果物として、輸出される事に決まり、僕は日本向けに出荷されました。
港に着きここが日本かと感激もし、店頭に並んでいると、ある画家の目に止まりこれは絵になる素晴しい粒と色合いだと喜び買い上げてくれました。
早速アトリエのテーブルの上に置かれ、配置を考えていた画家は、葡萄の隣が寂しいからワイングラスを置こうと独り言を言いながら、ワインボトルからワインを注ぎました。
その時ボトルをチラッと見ると、なんとびっくり。このワインは僕と同じ農園出身でした。懐かしくて話をしているとこのワインは僕の叔父さんであることも分かり、親や兄弟の事も色々と話し盛り上がりました。

後日この画家の絵は有名になり展覧会などにも展示され、今では世界中を旅しています。
叔父さんと僕は誇らしげににっこりしています。